給水装置の問題点

はじめに

 2018.3.12日本水道新聞に、水道界でも著名な5人の方々の「給水装置の安全・安心を考える」という座談会の内容が載っていました。また、2018.12.6「水道法の改正」でも「適切な資産管理の推進」、「官民連携の推進」、「指定給水装置工事事業者制度の改善」の中で「水道の基盤の強化」を図るため、官民連携のあり方や指定給水装置工事事業者への期待等、蛇口から出る水の安全・安心の要となる給水装置の施工責任や施工後の維持管理の重要性が感じられました。水道法の改正を契機に、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、個々の水道事業体が実施可能な措置を講ずるよう努力されることを望みます。

 給水装置に関しては、ポチはあまり得意な分野ではありませんが、現役時代の苦情処理等の体験を踏まえ、給水装置とその問題点を紹介してみます。「入札の公平性」と「指定工事店の育成」等トレードオフの関係にある話もごちゃ混ぜになっていて答えになっていない部分もあります。完全な解決策は見当たらないのですが、問題点の整理ということで参考にしてください。

1.蛇口から出る水の安全性確保慮

1)給水装置とは

 給水装置は、水道事業者の施設である配水管から分岐して、量水器(検針メーター)を経由し、給水栓に至るまでの給水管及びこれに直結する給水用具をいいます。(図-1)。

 なお、「直結する給水用具」とは、給水管に容易に取り外しのできない構造として接続し、有圧のまま給水できる給水栓等の用具のことで、ホース等容易に取外し可能な状態で接続される用具は含みません。


図-1 給水装置の概念図(1):給水工事技術振興財団HPより

2)給水装置の工事と資格

 水道事業体には、水道使用者が使用する給水栓から出る水の水質(水道水質基準:H30年時点で51項目)を保証する責務があります。

 給水装置工事とは、給水装置の設置又は変更の工事であり、給水装置の新設・改造・修繕及び撤去の工事のすべてを含みます。また、工事には、調査・計画・施工及び検査の一連の過程が含まれます。(水道法第3条第11項)

 各水道事業者は給水装置(蛇口、トイレなどの給水用具・給水管)の工事を施工する者を指定することができ、条例において、給水装置工事は指定給水装置工事事業者が行う旨を規定します。(指定工事店制度) 

 給水装置工事は、工事業者の責任施工で行えるために、その技術を見極めるための主任技術者制度と指定工事店制度があます。

給水装置工事事業者の指定の基準(水道法第25条の3)

1. 事業所ごとに給水装置工事主任技術者を置く

2. 一定の機械器具を所有すること

3.一定の欠格要件に該当しないこと

の3点です。指定は給水装置工事事業者の申請により行います。申請の受け付けは随時が原則で、参入制限となるような受付期間の限定はできません指定基準に適合する場合は、水道事業者は指定をしなければならないのです。

 給水装置工事主任技術者は、給水装置工事事業者が水道事業者から水道法に基づく指定(指定給水装置工事事業者)を受けるための必須の国家資格保持者です。給水装置工事主任技術者試験(国家試験)に合格し、交付申請により厚生労働大臣より給水装置工事主任技術者免状の交付を受けた者をいいます。

 給水装置工事主任技術者試験がスムーズに運用できるように、給水工事技術振興財団が設立されました。

 給水装置工事主任技術者となり、管工事に関し1年以上の実務経験を有すると、一般建設業のうち管工事の専任技術者・主任技術者として従事できます。


図-2:給水工事技術振興財団HPより抜粋

3)水道に使用する材料等の品質認証制度

 水道工事に使用する材料等に関しては品質認証制度があります。

 安心して水道水が飲めるように、蛇口などの給水器具、水道の施設、水を殺菌し、きれいにするために使用される薬品等には構造・材質・品質についての基準が厚生労働省令で定められています。これらの水道用品が水圧に耐えられるかどうか、水に接したときに材料の成分等がどのくらい溶け出るか、塩素などの薬品を使用した場合不純物の量はどのくらいか、などについては厚生労働省令の基準に適合していなければなりません。

  日本水道協会品質認証センターは、これらの水道用品が厚生労働省令に定める基準等に適合しているかどうかについて、客観的立場から評価する機関です。メーカーから申請のあった製品を評価し、基準に適合している製品を認証登録します。そして、登録品については市場に出る前に品質確認を行っており、基準適合品であることが確認されると下のような品質認証マークが表示されます。

 普段使用している蛇口、シャワー、トイレなどで見かけるこのマークは水道用品が厚生労働省の定める基準に適合していることを証明しています。品質認証センターに認証登録されている製品は出荷される前に品質確認を行っており、 認証登録されている内容と同品質のものが製造されていることをセンターが確認した製品にだけJWWAマークを表示することができます。

2.平成8年水道法改正による「指定給水装置工事事業者制度」の問題点

 H8年度の水道法改正以前は各水道事業者が独自の指定基準で給水装置工事を施行する者を指定していましたが、特定業者の優遇等の批判がありました。

 規制緩和の要請を受け、平成8年に全国一律の指定基準による以下のような「指定給水装置工事事業者制度」を創設しました。
・各水道事業者は給水装置工事を施行する者を指定できる(水道法第16条の2)
・3項目の指定要件での全国統一化・明確化(水道法第25条の3)
指定要件(3項目)=給水装置工事主任技術者の選任、工具の保有、欠格条項
・給水装置工事主任技術者は技術上の管理を担う者として国家資格化(水道法第25条の4)

 広く門戸が開かれたことにより、H9年には2万5千者の指定工事店数でありましたが、H25年には22万8千者と指定工事店数が16年間に約9倍と大幅に増加しました。
 しかも、この制度は新規の指定のみ扱い、休廃止等の実態が反映されづらい点があり、無届工事不良工事も発生しました。
・所在不明な指定工事事業者:少なくとも約3千者
・違反工事件数:1,740件/年
・苦情件数:4,864件/年

<参考:指定給水装置工事事業者制度の現状(厚労省アンケート結果:H25年度末)

@ 不明工事事業者の存在

・各水道事業者が公表している指定給水装置工事事業者リストに、連絡がとれない指定給水装置工事事業者が掲載されている。(一部水道事業者が確認しているだけで約3千の不明工事事業者が存在)
・不明工事事業者は、水道事業者からの指導監督や情報提供が行えないため、資質の低下が懸念される。
・連絡がとれないなどといった水道利用者からの苦情の原因となっている。

A 違反行為

無届工事構造材質基準不適合などの違反行為は、水道事業者が把握しているだけでも1,740件発生。
・直接水質事故につながりかねないクロスコネクションのほかに、虚偽報告等の悪質な違反行為も発生。


図−3 違反行為の内訳(複数回答を含む)

B 苦情

・水道利用者からの苦情件数は4,864件に上ります。苦情の内訳は「連絡不通」、「対応が遅い、悪い」、「費用が高額」が多く、修繕の施行不良など技術力の不足による苦情もあります。
・国民生活センター、消費生活センター等に寄せられた水道工事や水道等の修理サービスに関する消費生活相談は約1,000(件/年)であり、横這い傾向で減っていません。


図−4苦情の内訳(複数回答を含む)

3.2018.12.6水道法改正による指定給水装置工事事業者制度の改正内容

1)指定給水装置工事事業者の指定の更新制(5年毎)

 今回の改正は従来の指定の要件(以下の3点)を変更するものではありません

1. 事業所ごとに、給水装置工事主任技術者を置くこと
2. 切断用器具等の機械器具を有する者であること等
3. 一定の欠格要件に該当しないこと

 新たに、工事を適正に行うための資質の保持や実体との乖離の防止を図るため、指定給水装置工事事業者の指定の更新制(5年)を導入します。既存指定工事事業者の最初の更新時期を分散させ、事務の平準化を図ることを予定しています。

・平成26年度以降に指定⇒施行後5年は指定が有効
・平成25年度以前に指定⇒指定を受けている期間の長さに応じて段階的に5年を超えない有効期間を政令に規定

2)指定の更新を行う際に確認すべき事項と業者指導・利用者への情報発信のあり方

A.確認することが望ましい事項

1. 指定工事事業者講習会の受講状況
2. 主任技術者等の研修会の受講状況の確認
3. 配管技能者の配置状況
4. 指定工事事業者の業務内容

B. 指導

 確認した情報をもとに、必要があれば指定工事事業者を指導することで、資質の保持を図り、安全で信頼される給水装置工事の確保と違反行為・苦情・トラブルの減少につなげる。

C. 利用者への情報発信

 利用者が指定工事事業者を選択する際に有用な情報となるようなわかりやすい情報発信の一つとして確認内容を活用することが有効である。

4.給水装置に関する問題点

1)水道事業がうまく運用されていない実態がある

 水道事業体のベテラン職員の退職や異動により、地域の特性や現場の状況を知っている職員が減少しています。職員が補充されても、技術の継承がされていないし、追いついていない実情もあります。職員数が1人という小規模水道では日々の業務の遂行に精一杯という状況でしょう。

 結果として、竣工検査をやっていない、給水装置の部材や工法が変わってきているのに職員自体が時代の変化に着いて行けていない、誤接合のチェックや吸排気弁の設置状況など竣工検査でやるべきことができていないほとんど施工業者任せのケースもあります。

 水道事業体は給水栓から出る水の水質を保証しているのですから、きちっとした材料を使い、適切に施工されていることを、事業体やその委託者が監視・チェックするべきです。上記のような状況にあることを水道使用者が知れば、不安このうえない感情を持たれると思います。

 民との連携を含めて、水道事業体は水道法第1条「水道の基盤強化」に繋がる施策を策定する責務があります。強靭・安全・持続を追及する官民が連携した新たな水道産業界を構築して「水道の基盤強化」に繋がる枠組みを構築する必要があります。

 給水工事主任技術者の国家資格ができて20年なのに、事業体と指定工事店との責任分担ができてなくて、事業体の業務が軽減されていません。給水栓から出る水が水道水質基準に適合するように工事する仕事は指定工事店の責任でやるべきです。水道事業者は、安全・安心な水道を届けられる給水装置を設置することができる企業形態を指定工事店が整え、実際に工事してくれているかどうかを監視する責務を負います。指定工事店等への任せっぱなしのような身内検査に頼っていては甘い管理になってしまい、水道への信頼が失墜する恐れがあります。

 水道事業体は給水装置管理業務の委託が必要になることもあります。この給水装置管理受託会社は地元水道工事店ではなく、大手企業の管理運営会社が担うケースもあるでしょう。管理運営会社からの依頼で修繕工事を行う指定工事店は1社の場合もありえますが、複数の指定工事店のJVや管工事組合等の複数会社企業体の可能性が高いと思います。管理運営受託業者と緊急修理を行う指定工事店企業体とは、単なる下請け契約ではなく、双方が必要な役割を認めたうえでの効率的な管理と迅速・適切な修理体制が図られるような、お互いにパートナーの関係を作ることが望まれます。

 給水管理委託に関しては、今のところガイドラインが無く、委託の範囲や受託側に渡す責任と範囲が明確にはなっていない問題もあります。

 水道事業体は給水装置管理受託者や指定工事店の業務を監視する必要があるのですが、現実には、大規模事業体でもすべてのチェックを現場の竣工検査で行うのは不可能でしょう。ある事業体では、工事店のランク付けをし、優良企業には信頼して業務を任し、後の工事店のチェックは抽出検査を行っています。

 小規模水道では、民間に管理を任せる場合、誰にどこまで責任を持たせるかが問題となるかもしれません。民間の受託体制も技術的には不十分で人材の育成が追いついていないのではないかと推測します。

 一例として、全国に何か所か工事管理を行う管理センターを設けて、実際の管理業務は、現場からスマートフォンで管理センターに連絡・画像送信し、検査をしてもらう体制が取れるようになればと思います。

 業務委託が多くなると、水道委託業務内容の監査機関が必要となり、しっかりした安全・安心を確保できる監査の仕組みが必要です。監査に係る費用対効果も考えなくてはいけませんが。

2)給水装置施工後の水道サービスの向上

 水圧・水質等の苦情や漏水修理依頼等に適切に対応するためには、水道利用者の情報把握が必須要件となります。配水管から分岐した給水装置の場所・設置状況を水道事業者は把握しておかなくてはいけません。工事内容の記録を残す管路情報システムの整備を万全にします。工事店にとっては、しっかりした施工を行ったことの証拠を残すことにもなります。

 道路法の改正により、占用物件の損壊による道路陥没の被害に対して厳しく責任を問われる時代になりました。水道事業体の自衛のためにも管路情報システムの整備は不可欠になっています。

 給水装置情報を含む管路情報管理業務の委託や広域化を目指す場合は、管種、使用する用語、申請書の書き方、図面の指示等標準化も図ります。水道事業体ごとに給水装置管理の状況は違うことが多いのですが、事業体ごとの違いを受託民間職員が理解していないケースは多いのです。統一化(標準化)しないと広域化の効果が出ませんが、慣れたやり方を変えたくない事業体もあり、十分な協議が必要です。

 とにかく、管路情報を統一化しスマホやタブレットで簡単にチェックができるようにしないと、使用者と事業者の接点が曖昧になり、サービスの向上が図れません。

3)人口減少に伴う空き家給水管の増加

 既に各地で人口減少は始まっていて給水人口も減少していますが、給水区域は減少したり、無くなったりしません。給水区域は現在と変わらないまま、給水人口密度が減っていき、給水装置を含めた配水管の維持管理が非効率になり、財政的にも管路更新が難しくなっています。

 水道を使用しなくなって廃止するとき、一般的にはメーター以降の2次側を止水栓で止めます。本管からの分岐部から私有地内の止水栓までは給水管が残り、行き止まり管が存在することになりますので、
1. 水質管理上好ましくない
2. 漏水事故の原因となる。熊本地震でも、使用廃止中の給水装置の行き止まり部分で漏水被害が起きています。凍結被害時に破損個所がなかなか見つからないのが空き家の給水管漏水。
という問題が生じます。料金徴収情報とマッピングにおける給水装置情報を連動させ、撤去すべき給水管を洗い出す努力が必要です。

 建物等個人財産の給水管について、官が関与せざるを得ないケースは、地震や寒波といった災害発生時に漏水が発見された時です。

 漏水発生が起こる前に、残存する給水管の撤去を含め、今後どのように管理していくかが課題です。

 水道法33条には、給水装置の所有者が不明で使用者が無いとき、「水道の管理上必要があると認めたときは、給水装置を切り離すことができる」とあります。これを根拠に、長期中止栓など使用見込みの無いものを撤去しようと思えばできます。しかし、本管からの分水栓部まで公道を掘削して撤去しなくてはならず、施工費用の負担は大きく、費用対効果の論議が出ることでしょう。

 給水装置は需要者の財産ですが、住む人が居なくなった世帯の給水管は誰のもので、それをどう管理していくか。事業体が撤去するにしても法律的な問題があるのかもしれません。人口減少社会の中で個人の財産である給水装置が安全・安心を脅かす状況になった時、自治体がどう整理していくかが課題となります。

<参考:給水装置の切り離し>
第三十三条 市(町村)長は、次の各号の一に該当する場合で、水道の管理上必要があると認めたときは、給水装置を切り離すことができる。
一 給水装置所有者が、○○日以上所在が不明で、かつ、給水装置の使用者がないとき。
二 給水装置が、使用中止の状態にあって、将来使用の見込がないと認めたとき
(注解)一 本条第一号の日数は、六十日乃至九十日を基準とすることが妥当と思われる。
(昭和三三年一一月一日) (衛水第六一号) (各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省水道課長通知)

4)高齢者単身世帯の増加

 高齢者単身世帯は増える傾向にあります。当人が病院や介護施設に入ってしまい長期間留守にしているとき、メーター以降の漏水が発生し、漏水が長期間放置され、2次災害が発生するリスクも生じます。

 検針時に前期や前年同期使用量との需要量チェックをする必要があります。あるいは、スマートメーターの普及も期待されます。しかし、1万円以上もするスマートメーターの負担が可能な事業体はどの程度あるのでしょうか。

・八戸圏域水道企業団:親族やヘルパーさんに「入院中や介護中は、水道を止めるかどうか」を企業団から伝えています。
・高松市:医師会と連携して、長期間入院する人に休止の申し出をしてもらう。

5)貯水槽水道

 貯水槽水道の管理は設置者が自ら管理すべきものです。

 しかし、貯水槽水道を利用している住民の多くは、蛇口から出る水は水道事業者が責任を持っていると思っています。貯水槽水道の安全に関しても、水道事業者が関与すべきかもしれません。自治体の衛生行政(主として都道府県の環境行政と思います)が責任を持って対処できない状況にあるなら、管工事業者等民間企業が適切に関与できる枠組みが必要なのかもしれません。

 東京都は水道診断などを行って、貯水槽水道の相談を受けています。

<参考:貯水槽水道設置者の責務>

1. 貯水槽の清掃 … 1年に1回以上定期的に受水槽などの掃除を行う

2. 貯水槽の点検 … 貯水槽の内外を清潔に保ち水が汚染されないよう定期的に点検を行う

3. 利用者への周知 … 供給する水が健康を害する恐れがあると知ったときには直ちに給水を停止し,その水が危険であることを関係者に周知させる

4. 水質の管理 … 各家庭のじゃ口から出る水に異常を認めたときは,その状況に応じた水質検査を行う。
 小規模貯水槽水道の場合、上記1〜4の管理について1年に1回定期的に水質検査(色・濁り・臭い・味及び残留塩素)を行い,安全を確認します。

6)地元管工事業者の育成

 管工事業者は、県内の2〜3都市の指定工事店になっているのが平均的な仕事の状況です。稀に、大きな企業が県下全ての市町村で指定工事店の申請を行っています。でも、管工事店の後継者が無く、管工事店の数は減少傾向にあります。

 官は、原則として「公平・公正」であるべきで、一部の業者を特別扱いにすることは立場上許されません。「全部オープンに開放していく」というのが世の流れでしょう。この結果、建設業の許可区分がオープン化され、多くの土木建設業者が水道施設業登録することで、水道施設業と土木一般と管工事業の熾烈な入札競争が生まれました。

 地元の管工事業者は、地元の仕事は大手業者ではなく自分たちの手でやりたいと願っています。「地元行政体に守られている方が有利」と考える企業もおられるでしょう。事業体には発注の公正化と共に「企業育成も念頭に考えてもらいたい」というのが正直なところだと思います。

 日々の漏水修繕工事は、いつ何どきでも対応してくれる地元業者に頼ることになります。災害が起こり、その復旧工事も地元指定工事店に頼ります。水道事業体は、地元管工事業者をどのようにして育成していくか、言い換えれば、「新たにどのような仕事を作っていくか」も課題となるでしょう。

 地元業者の育成策として、検針・徴収業務発注において「市内業者に限る」という条件を付与する事業体もあります。配管工事は小さく分けて受注額を少なくし、地元業者が加入しやすい環境を整えたりもします。ただし、他社との比較や競争が少なくなれば、施工の効率化も図られず費用は割高な状況で推移する恐れがあります。

 地元業者の育成策を実施するには、水道事業体は納得を得られる説明が市民に対してできなくてはなりません。地元管工事業者自身も、どういうサービスを自分たちは供給できるかを考え、仕事を作る工夫が必要と思います。

 例えば、貯水槽水道において、指定工事店が管理運営できる仕組みにすれば、工事店の仕事も増えます。広域化を進めるにおいて、給水装置の仕事をする業者が集まってセンター化(組合化)する等の工夫も有効かもしれません。