知っとこニュース2

2022.2.8

水清ければ、魚住まず?(2021.11.28日本経済新聞)

 瀬戸内海で貝や魚が減っているそうです。

 瀬戸内海に面する兵庫県明石市の沖合は、明石鯛・明石ダコをはじめ約100種類の魚が水揚げされる全国有数の漁場ですが、2000年代前半までは1.5〜3万トン採れていたイカナゴが現在は2千トンを下回っています。海苔の養殖でも2000年頃から「色落ち」が続いています。海の汚れの指標の窒素濃度が低くなってきた頃から漁獲量の減少が始まっています。ほどほどの窒素・リンは海の肥やしとなっていたのです。兵庫県水産技術センター(明石市)は、2015年度から5年間の現地調査を行い、イカナゴの稚魚「シンコ」の漁獲量と海水中の窒素などの濃度に明確な関係があるとしています。

 瀬戸内海の浄化対策として排水規制が進みましたが、結果として海域の貧栄養化が生じて、イカナゴの減少や海苔の色落ちが起こっているのではという意見です。瀬戸内海における栄養塩を養分とした植物プランクトンの濃度は、1980年代に濃度の高かった大阪湾や広島湾では、2000年代後半にかけて大幅に下がっているそうです。

  

 兵庫県は全国に先駆けて海域の窒素やリンの下限値を設けました。国も2019年に瀬戸内海環境保全特別措置法を改正し、排水規制による「きれいな海」から、きめ細やかな管理による「豊かな海」へと方向転換しました。

 また、沿岸の養殖業者向けに、養鶏場で出た鶏の糞に乳酸菌や酵母を混ぜて発酵させた海の「肥料」も開発されています。ポチが住んでいる松永湾の入り口に山波の洲(広島県尾道市)と呼ばれる潮干狩りの名所があるのですが、ここもアサリがほとんどいなくなりました。2018年、尾道市は海の「肥料」を使ってアサリの稚貝を育てる実験をしたところ、肥料を干潟にまいた区画では、生存率が約2割高まったそうです。広島県のカキ養殖業者も導入しています。

 しかし、窒素濃度が上がると赤潮の発生を心配されるぶりの養殖業者もおられます。どんな海が良いのかは利害関係者によって違いがあるので、関係者の合意を得ながら対策を行う必要があります。

2021.07.25

水道資金の運用に電力債を導入(2020.10.12水道産業新聞)

 人口減少や節水機器の導入などにより水需要が減少し水道収益が落ち込む中で、水道施設や管路の更新を控えている事業体は多いことでしょう。

 静岡県企業局は水道事業が抱える様々な問題点の解決に向けて、職員の創意工夫により事務の効率化やサービスの向上に取り組んでいます。課題ごとに若手職員が中心となったタスクフォースを設け、職員一人ひとりの発想や工夫を生かした業務の見直し、コストの削減に取り組んでいます。この運動は「ひとり1改革運動」と呼ばれ、1998年度から実施されています。

 2019年度年間優秀事例に選ばれた「水道資金の運用に電力債を導入」を紹介します。

 日々の支払いに充てる資金等は除いて大口定期預金や県債を主軸として資金運用を行っていましたが、近年のマイナス金利政策下では、運用益をほとんど得られなくなっているのが実情です。
 給水収益の減少を補うため、令和元年度から運用益の増収を図るため、事業債を追加しました。

 事業債は元本毀損が生じる可能性がありますので、購入する債権は以下の条件を付けました。
 @ 発行会社の倒産時に優先弁済が受けられる一般担保付債権であること
 A 格付機関による債権評価がA以上であること
 B 満期が3年以下の短期債券であること

 2019年9月に2〜3年満期の東電PG債を77億円購入した結果は、1年間あたりの運用益は2140万円であり、2000万円の増収を実現しました。また、2019年10月には満期1年未満の東電PG債を購入し、年450万円の運用益を得ました。