水道部門 口答試験 水源・水質

○ 平成12年に出題実績のある問題  ● 平成13年に出題実績のある問題

1. 水源の種類は?○ 

 河川表流水、ダム、湖沼水、井戸水・伏流水とそれに海水や雨水、工業用水の場合下水処理水等も水源として利用される。
@地表水:河川水(自流水)、湖沼水、ダム水(放流水を含む)
A地下水:伏流水、浅井戸、深井戸、湧水
Bその他:海水、かん水、天水等

2.○○市の水源には地下水もあるか?種類は? どのくらいの比率か?○●

 事業体の方は一応チェックしていて下さい。

3.地下水の種類と特徴は?○ 

不圧地下水、被圧地下水、亀裂水(裂か水)

<参考>
 不圧地下水・・・地下水の上面が,土壌中の大気に直接接している地下水。自由地下水ともいう。地表付近の環境等の影響を受けやすく,水質の安全性に課題がある
 被圧地下水・・・不圧帯水層の下部にある難透水層やその下にある複数の不透水層の間に挟まれた帯水層中に存在する地下水。水質良好,年間水温もほぼ一定,水道水源に適す。過剰揚水により地盤沈下の危険性がある。
 亀裂水・・・亀裂や間隙に富む堆積岩や火成岩,石灰岩に含まれる地下水

4. 水源開発についてどう考えるか?

 特に渇水に対して脆弱な地域は別にして、水源開発より今後はむしろ漏水防止対策、既存水源の有効利用等節水型都市づくり、広域水道への参加等が重要と考える。

<基本的な考え方>
 渇水に対して脆弱な地域においてはダム等の水資源開発を促進し、安定水源の確保を図る。水源開発に当たっては、水源の多元化、多様化を目指した水源開発と広域化も含めた相互融通体制の促進や水源涵養林も視野に入れる。
 しかし、ダム適地の減少や建設コストの上昇及び施設整備に長期間を要しており、突発的に発生する渇水事態への即効的な水確保は期待できないため、全ての地域で安定した水源の確保を目指すのは、投資効果から見ても合理的でない。
 従って、今後は新たな水源開発より、むしろ節水型都市づくりや漏水防止対策による水源の確保あるいは広域化を推進していくことが重要

5.既存水源の有効利用にはどんなものがあるか?

 ダム適地の減少、膨大な建設コスト、環境問題、実現までに時間がかかる等、即効的水資源の確保は期待できない状況にある。
  1)現在保有している水源を見直し、安定化のための手だてを考える
   @既存ダムの容量確保・・浚渫、嵩上げ
   Aダムの弾力的運用の働きかけ・・洪水調整容量の活用
   B他用途余剰水利権の譲渡
   C無効放流を無くすためのダム間の連絡体制の確立
   D農業団体の理解(節水型稲作の推奨、農水放流量のきめ細やかな調整)
  2)ダム以外の水源の活用
   下水処理水、雨水、井戸水、海水の淡水化
  3)広域化への対応や他事業体間の原水あるいは浄水の相互融通体制の確立

6.節水型都市づくりにはどんなことがあるか?

@配水管網のブロック化(漏水を発見しやすい管路)と水圧コントロール(漏水しにくい管路)
A漏水防止対策の推進(強くて漏水しにくい管材の選定、老朽管の更新、漏水検知システムの設置、漏水調査の励行)
B節水の奨励(節水PR、節水機器の普及と助成制度)

7.水源汚染の原因は何か?○ 

@生活水準の向上、産業活動の進展、都市への人口の集中などにより、各種排水が公共用水域へ多量に流入している
A化学薬品多用など生活様式の変化

8.水道水源の水質保全対策は?○●

 水道水源の水質保全対策は、「水道水源二法」の積極的な活用を図り、関係機関と連携を取りながら進めていく必要があり、具体的には、
 @汚濁源の排出規制
 A下水道・合併浄化槽の整備による汚濁負荷の軽減
 B水源上流域での開発行為の制限
 C農薬や肥料使用の適正化
 D河川や湖沼の水質浄化対策

9.水源二法を説明しなさい

 厚生労働省の事業促進法と環境省の特別措置法のことで、水道事業者からの要請に基づき、水道原水に着目して、各種の水質保全事業や規制措置を実施するのが特徴

<参考>
 (1)水源2法の主旨と特徴
 水源二法は、安全で良質な水道水の供給のためには、浄水施設の高度化だけではなく、水道原水自体の水質保全を図るための根本的な対策が必要であり、トリハロメタン等水道水質基準が水道事業者の努力のみによっては確保できない恐れがある場合に、水道事業者の要請によって、県および河川管理者が事業計画を策定し、事業促進することを定めたもので、平成6年度制定。
 従来の法制度で(水質汚濁防止法、湖沼法、農薬取締法、廃棄物処理法)欠けていた部分を補うために、
 厚生省の事業促進法:生活雑排水によるトリハロメタン、異臭味、洗剤等の対策
 環境庁の特別措置法:工場・事業場の排水によるトリハロメタン対策
 について定めた。
(2)事業内容
 1)厚生省;事業促進法
  @雑排水処理施設の整備(下水道、コミュニティプラント、農業集落排水施設、合併処理浄化槽)
  A河川の直接浄化事業
  B水道水源保全のために重要な土地の取得等
 2)環境庁;特別措置法
  @生活排水重点地域の指定
  Aトリハロメタン対策としての工場・事業場の排水規制

10.富栄養化とは?

 湖沼等の閉鎖性水域において、栄養塩類の増加によるプランクトンなどが繁殖する現象のこと

11.富栄養化の発生原因は?

 工場・事業場排水、生活排水、農業・畜産排水などがある

12.富栄養化対策は?

@汚濁源の排出規制
A下水道の整備による汚濁負荷の軽減‥‥特に、窒素、リンの除去
B水源上流域での開発行為の制限
C農薬や肥料使用の適正化
D畜産排水の処理、水産業の排泄物処理
E河川浄化施設、れき間浄化法、植生浄化、河川の浚渫

13.富栄養化が起こってしまった時の対策は?

@硫酸銅等による薬剤散布
A間欠式空気揚水筒等による湖水循環
B底泥の固化・浚渫

14. 環境ホルモンとは?

 内分泌撹乱化学物質のことで、ホルモン類似作用を持ち、人や生物の生殖機能に重大な影響を与える
 フタル酸エステル類やアルキルフェノール類が水道水中から検出されたが、極微量で直ちに問題となるレベルでない

<参考>
塩化ビニル管中のプラスチックの可塑剤‥‥フタル酸エステル類
   界面活性剤‥‥(ノニル、オクチル等の)アルキルフェノール類

15.今後、予想される水質問題は?

 環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)?
 2005にはアスベストが社会問題となった。石綿セメント管による経口飲料による被害はほとんど問題なしとの結論を得ている。(ポチのHP「石綿セメント管対策」を参照)
 2005.10週刊新潮のタールエポキシ系塗料の発ガン性が問題となった。タールと硬化剤MDAの発ガン性である。
 いずれも、命に関わる水質問題には社会問題化する傾向がある。

16.井戸のスクリーンの種類 

スリット型,丸孔巻き線型,巻き線型Vスロット,補強リング付巻き線型スクリーン

17.H15年5月に改訂された水質基準について?

1)水質基準の基本的考え方と水質基準50項目
 これまでの水質基準は、全国で問題になる項目は水質基準項目として設定し、地域的に問題となる項目は通知による行政指導で対応されていた。
 今回の改正では、全国的に見れば検出率が低い項目であっても、地域・水源の種別・浄水方法により、人への健康を害する、または、生活上支障を応じる恐れのあるものは、全て水道法第4条に基づく水質基準項目とした。
 水質基準は13項目が追加され、9項目が削除されて、50項目に定められた。
 健康に関する項目       =30項目
 水道水が有する性状に関する項目=20項目
2)水質管理目標設定項目 27項目
 水道水の将来的な安全性の確保と水道水のニーズの高度化に対応するよう、より質の高い水道水をめざして定められた項目。水質基準のように測定義務はありませんが、これらの項目については水道基準の検査と同様に検出状況を把握し知見を集積し水質管理に活用することが望まれる。

18.水安全計画とは?

 H16.9に世界保健機構(WHO)は飲料水水質ガイドライン第3版を刊行し、各水道における水安全計画の策定を提言した。
 水安全計画とは、水道の水源から給水栓までの全ての工程を統合的に評価し、管理方法を明確にし、それを実施させるための計画です。

19.水道GLPとは?

 水道GLPとは、水道水質検査優良試験所規範という規格のことで、水道事業体の水質検査部門や水道法第20条に該当する水質試験所機関全てを対象に適用されます。
 この規格に合格することで、水道法に基づき水道水が水質基準に適合することを確認する水質検査実施機関の検査が、管理された体制の下で適正に実施されているという信頼性を確保しようとするものです。